地味な流行

僕が小学生の頃(確か3年生ぐらいだったと思う)、久松でローラースケートが一大ブームを巻き起こした。

畑や海の仕事を手伝ったりして、みんな何とか親に買ってもらっていた。

久松のあの迷路のような狭い道は、さながらローラースケートのサーキット場と化し、それが流行っている間は徒歩で移動する児童を見かけるのがもの珍しいぐらいに、少年スケーターたちで溢れかえっていたのだ。(そうは言っても里の少年の絶対数はたかが知れているのだか...)

集落の中には大きなカーブなどはなく、直角に曲がる路地が多かったので、曲がり角で出合いがしらに馬車と正面衝突する友だちもいた。馬車のうしろにつかまって登り坂を楽々と移動する輩もいた。勢いよく坂を下って行って、上手に弧を描きながらUターンする優れ者もいた。

そのあと何年か経って光GENJIがデビューしたとき、僕は正直、自分たちの方が流行を先取りしたのではないかと、何やらひとりでに湧き上がってくる優越感のようなものにどっぷり浸ってしまった。きっと仲間のみんなも少なからずそう感じていたのではないだろうか。だとすれば、なかなか頼もしい勘違いクンたちだ。

誰によって火がついたのか、どんな理由でその流行が突如として終わったのか、それは誰にも分からない。