COOLMIN~波音民謡 宮古編~
発売日:2025-10-31
価 格:¥2,500(税込)
CD▸ARIZE MUSIC STORE
Arranged, Mixed & Mastered by 下地イサム
COOLな民謡、島の音と世界の音が出会って、
ささやきと海が包み込む。伝統と響き合う現代。
新たな境地。『COOL MIN』、ここに誕生~
①│根間ぬ主~漲水ぬクイチャー
②│酒田川
③│なりやまあやぐ
④│豊年の歌
⑤│ばんがむり
⑥│平安名ぬ真津小
⑦│宮国ぬ姉小
⑧│かにくばた~狩俣ぬイサミガ
⑨│豆が花
⑩│池間ぬ主
⑪│伊良部トーガニ
⑫│與那武金兄小
⑬│多良間しゅんかに
⑭│野崎クイチャー
【歌詞/楽曲解説】
①│根間ぬ主
〔楽曲解説〕
宮古島根間地区を治めていた琉球の役人 “根間の主”の物語。カナガマという娘が恋人で、出張で本島に戻る時の心配や、寂しい気持ちを歌っている。 昔の人にとって船の旅はとても危険なものだったので、宮古から首里王府に上る際、不安な気持ちになりながらも船旅の無事を祈る歌になっている。
〔歌 詞〕

①│漲水ぬクイチャー
〔楽曲解説〕
漲水ぬクイチャーは、1630年代から人頭税によって苦しめられてきた宮古島の民衆が、266年も続いた悪名高い制度の廃止を受け、その時の喜びを歌った歌である。(クイチャーとは「声を合(ちゃー)するという意味から来ている。
「打ち寄せる白い砂浜の砂が粟や米だったらいいのに」と、極貧生活の中であり得ないような願望を抱いていたことが、今実際に叶えられようとしている、という内容。
〔歌 詞〕

②│酒田川
〔楽曲解説〕
崎田川は宮古島下地にある沖縄製糖工場の北側、小高い山から流れる全長900メートル川幅2メートルの小さな川。水量が豊富でどんな干ばつにも枯れることはないと言われている。下地の上地、洲鎌からハタ織り布を納める時に歌った歌。原料の糸を漂泊する崎田川の水は清浄で、漂泊した糸は純白になり少しの汚れもけがれもない。純粋で素絹にも似た娘心のようだ。この真水は下からは湧き、上からは降り注ぎ尽きることがない。この盃をお受け下さるならいくらでもお注ぎしましょう。たよりにしているのはあなただけ、信頼の真心をこめて差し上げましょうと歌われる。
〔歌 詞〕

③│なりやまあやぐ
〔楽曲解説〕
なりやまあやぐは、宮古民謡を代表する教訓歌。受け取る人によって多少解釈の違いが見られるが、一般的な解説としては夫や恋人が他の若い女性に心をひかれないよう諭す内容というふうに認識されている。「なりやま」は「慣れ山」、慣れ親しんだ場所だからといって気持ちを緩めることがないうように、油断しないようにという教訓を含んでおり、恋愛の側面も持ち合わせている。
〔歌 詞〕

④│豊年の歌
〔楽曲解説〕
豊年(豊作)を願って歌われた歌。世や直れ(ゆーやなうれ)とは、米や粟などの農作物がたくさん実って、豊穣な世の中になってほしいという意味。
豊作を祈り、家族、村人たちの幸せを祈り、毎日を精一杯生きていたことを窺わせる歌詞。「揃いど美さぬ 世や直れ」と歌われる下の句は、みんなで揃って美しく綺麗な暮らしになりますようにという願いが込められており、それだけ貧しい暮らしを反映しているとも受け取れる「世や直れ」である。
〔歌 詞〕

⑤│ばんがむり
〔楽曲解説〕
「ばんがむり」とは、「私の子守」という意味で、子どもをあやしながら唄う子守唄のこと。昔は宮古島でも若い娘の多くが自分の家計を助けるために子守り奉公をしていた。他人の家に住み込みでベビーシッターとして雇われていたのだ。この歌詞ではまさに「子守役のお姉さん」が幼い子を両手に抱きかかえて揺らしながら「私が(小舟のようにゆらして)漕いであげるから大きくなりなさい」という風に唄っている。
〔歌 詞〕

⑥│平安名ぬ真津小
〔楽曲解説〕
宮古島城辺保良地区の東側に位置する平安名(へんな)村に住んでいた真津(まつ)という美しい女性のことを唄った歌。マツは真津小「まちゃがま」というニックネームで呼ばれ、巷でもつとに有名で、村の役人達に呼ばれて遊びに行くのを地元の男達がひやかしているが、それを真津小は巧みにかわしていく様子が歌われている。
〔歌 詞〕

⑦│宮国ぬ姉小
〔楽曲解説〕
宮古島上野の宮国に伝わる歌。ウヤケーンナウレ(豊かになりましょう)いう囃子が印象的なこの歌詞は、宮国地区に住んでいた美しい姉さんのことを唄っていて、その美しさに惚れた村の役人がやがて彼女に求婚していくというストーリーになっているが、歌詞の大半はそのお姉さんの美しく長い髪の毛が鬢付け油とともにきれいに前から後ろへ、後ろから前へと櫛で梳かれていく様子なんかを淡々と描写する叙事的な内容になっている。
「姉小(あにがま)」とは“姉さん”の愛称。
〔歌 詞〕

⑧│かにくばた
〔楽曲解説〕
新しく村を建てるために宮古島上野の野原から平良の狩俣や大浦に移住を余儀なくされた子ども達に対し、親が開墾地の麦の様に勢いよく栄えなさい、家の近くに生い茂る豆の莢(さや)のように実りなさいと励まし、この先の繁栄と幸福を祈る歌であると言われている。未成年の子どもでさえ一人前の労働力として扱われていた時代であったことがうかがえ、辛さや苦しさを歌っているはずだが、曲調はアップテンポで明るい雰囲気さえ醸し出している。
〔歌 詞〕

⑧│狩俣ぬイサミガ
〔楽曲解説〕
宮古島の北端に位置する狩俣地区に嫁いだイサミガという女性が、なにかにつけ姑にいじめられていることを不憫に思った友だちが、気分転換に潮干狩りに行こうと誘っている歌。しかし潮干狩りで捕って来た成果(タコなどの海産物)でさえ、あんたに捕れるはずがない、さては別に男がいるのだろうと執拗に疑う姑がいる。宮古島の生活文化をありのままに描いたような歌である。
〔歌 詞〕

⑨│豆が花
〔楽曲解説〕
朝け方の露に濡れて咲くきれいな豆の花に自分の娘を喩え、役人が見初めて嫁にしたいと言い寄って来るのを「豆の花が美しいからと言ってもそれはほんの一時だけです」とうまく断る様を描いている。あなたの妻としては身分不相応ですから諦めてくださいと、娘の幸せを願う父の思い「自分の好きな人と一緒になってほしい」と願う心情を歌っている。
〔歌 詞〕

⑩│池間ぬ主
〔楽曲解説〕
池間島を収める役人「池間の主」の富裕ぶりと宿のお付き添いのミガさんが美しくて池間の主に可愛がられていることを羨み、妬みも半分添えながら周りの女たちがストレートに表現している。池間の主や武佐親(むさおや)を讃えあげミガさんを灰猫にたとえ、それでも池間の主のお気に入りであるならいいもんだとひやかしている。
〔歌 詞〕

⑪│伊良部トーガニ
〔楽曲解説〕
宮古島の伊良部地方に伝わる代表的な抒情歌。男女の恋の唄である。
宮古の本島から伊良部島まで小舟を漕いで会いに行く男性は、4キロほどの島までの距離が障壁として立ちはだかっていることを嘆き、途中に休める浅瀬があればいいのにと吐露するが、愛の力がそれに勝り島まで漕ぎ続ける。ひっそりと逢瀬を重ねるふたりは、夜は家族や周囲に気づかれないように音の鳴る木戸は締め切らずにムシロだけを下げて待っていてほしいと、会いたさ募る想いで切々と彼女に伝える。
〔歌 詞〕

⑫│金兄小與那武
〔楽曲解説〕
與那武岳の近くに住む金(かに)お兄さんというイケメンが毎日家に来るのに、ある日仕事が長引いて来なかったことで、心配して待ちわびている様子を歌っている。
彼女は心底金兄(かにすざ)に惚れていて、村の狭い道で会ってみたい、一度会ってもまた何度でも会いたいと猛烈にアタックを続ける。女性側の視点で見た「島の日常に息づく恋模様」をアップテンポに生き生きと描き出す抒情歌になっている。
〔歌 詞〕

⑬│多良間しゅんかに
〔楽曲解説〕
この唄は多良間島を代表する宮古民謡の一つで、役人と現地妻との別れを唄った物語。役人が多良間島に派遣され、現地の女性と出会うことになるが、彼には任期があり、終わると帰任するため、現地妻は置き去りにされ、別れることになる。その悲痛な感情を切々と表現しており、美しい旋律と相まって、宮古民謡の中でも切ない抒情歌として歌い継がれている。
〔歌 詞〕

⑭│野崎クイチャー
〔楽曲解説〕
宮古島久松(野崎)に古くから伝わるクイチャー。
雨乞いに始まり豊作祈願、無病息災、安寧な村の暮らし、ミガさんへの恋心や近所のお母さんたちが熟した蜜柑をそろそろもぎろうかと相談している様子など、村人の生活の様子を様々な視点から唄いあげる一大叙事詩のクイチャーである。地域の暮らしと祈りを象徴するクイチャーとして、今も脈々と受け継がれている。
〔歌 詞〕
