「ローラースケートはべつに地味じゃないでしょ」
「全国的に流行ったんじゃないの?」
「久松だけじゃないよ」
などと、
早速スタッフたちからの鋭い反論にあいまして、
そうだったのかぁぁ...
流行の先取りは久松じゃなかったんだぁ。
井の中の蛙ぶりを恥じております。(笑)
思い込みって怖いですなぁ。
ということで、今回は別の話です。
ローラースケートブームから1、2年ぐらい経った頃だろうか、
久松の母ちゃんたちの自転車ブームがやってきた。
信じられないかもしれないが、当時の久松の母ちゃんたちの中には
(これも久松だけの話ではないと思うが)幼少のころ自転車に
乗ったことがないという人がいて、大人になって初めて、幼児が
自転車の乗り方を覚えるように、まったく白紙の状態から自転車
ライフをスタートさせるという人がかなりの割合を占めていたのだ。
どのような理由でそのブームが巻き起こったかは知らないが、
とにかくそれは突然到来した。
小学生の僕らが、自分たちの母親に乗り方を指導するため、
夕飯を食べ終えると、母親が漕ぐ自転車の後輪部分を支えながら、
久松中学校のグラウンドへと出かけて行った。久松中のグラウンドは、
ちょっとした熟女自転車教習場みたいになっていた。ぎこちない蛇行運転
で転倒する人が相次ぎ、相手の側面に衝突する人、後ろから追突する人も
多かった。そんな見るに耐えないような惨たんたる状況から、一つ、また
ひとつとハードルをクリアして、一人、またひとりと、晴れて単独運転の
日の目を見るのだった。
そうやって里の熟女たちは、幾多の苦難を乗り越えたあとのような清々しい
笑顔で、畑へ、海へ、買物へと、新しいライフスタイルを手に入れたのだった。
流行が時代を創るとはよく聞くが、時代遅れで流行のおさがりにあずかる
人たちもまた、その時代を生きていたということなのだ。
なんちゃって。
バイナラ。
(これこそが...時代遅れ)